白液と黒液って、どっちが薬で、どっちが廃液だっけ?で迷いませんか。「白液=煮るための薬」「黒液=煮たあとの廃液」で区別すると、混ざりません。
この記事の要点
製紙工場では、木材から繊維を取り出し、白くして紙にします。各工程で出る液を押さえます。
製紙工場は、木材を「蒸解(パルプ化)→漂白→抄紙(紙にする)」の流れで処理します。水質では、蒸解と漂白で出る液や負荷が問われます。
蒸解(じょうかい)工程では、木材チップを薬液で煮て、繊維(セルロース)どうしを固めているリグニンを分解し、パルプ(繊維)を取り出します。
このとき使う薬液が白液(はくえき)で、水酸化ナトリウム(NaOH)と硫化ナトリウム(Na₂S)の混合溶液です(クラフト法)。煮たあとに出る廃液が黒液(こくえき)で、可溶化したリグニンやヘミセルロース、蒸解に使ったナトリウム・硫黄を含みます。黒液は回収ボイラーで燃やし、エネルギーと薬品を回収します。
白液(NaOH+Na₂S)で煮てリグニンを分解、パルプを得る。廃液が黒液。
蒸解後のパルプには、まだリグニンが残って色がついています。これを分解して白くするのが漂白です。
現在広く使われるECF漂白(Elemental Chlorine Free)は、その名のとおり塩素ガス(元素状塩素)を使わず、二酸化塩素(ClO₂)などを使う漂白です。
かつての塩素ガス漂白は、排水にダイオキシン類などを生じる問題があったため、塩素ガスを使わないECF漂白に切り替わってきました。排水のBOD負荷を減らすには、漂白工程へリグニンなどの不純物を持ち込まないことが重要です。
製紙工場の排水は、大規模水質特論で、工程と薬液・漂白の正誤として問われます。
令和7年度の大規模水質特論(問10)では、「蒸解でリグニンが分解される」「白液はNaOHと硫化ナトリウムの混合溶液」「黒液にリグニン・ヘミセルロース・ナトリウム・硫黄が含まれる」が正しい記述として並ぶなかで、「ECF漂白では塩素ガスを用いてリグニンを分解する」とするのが誤りでした。ECF漂白は塩素ガスを使わず、二酸化塩素などを使います。
混同しやすい用語
白液 と 黒液
蒸解の「前に使う薬液」か「後に出る廃液」かが違います。
白液は蒸解に使う薬液(NaOH+Na₂S)、黒液は蒸解後に出る廃液(リグニン・ヘミセルロース・ナトリウム・硫黄を含む)です。
「白液で煮る → 黒液が出る」と流れで覚えます。
蒸解工程で使う「白液」の成分は何か。
答え:水酸化ナトリウム(NaOH)と硫化ナトリウム(Na₂S)の混合溶液
白液で木材を煮て、リグニンを分解します。煮たあとの廃液が黒液です。
ECF漂白は、塩素ガスを使うか。
答え:使わない(二酸化塩素などを使う)
ECF=Elemental Chlorine Free(無塩素)。塩素ガスを使う、とするのは誤りです。
製紙工場の排水は、工程と液を結びつけると整理できます。
蒸解では白液(NaOH+硫化ナトリウム)でリグニンを分解してパルプを取り出し、黒液が出ます。漂白のうちECF漂白は塩素ガスを使わず二酸化塩素などを使います。
「白液で煮る→黒液」「ECFは無塩素」を、取り違えないようにします。
参考
※ この記事の確認日:2026年6月
まちがえやすいポイント
白液の組成、ECF漂白が塩素ガスを使うかどうかが狙われます。
ECF漂白は塩素ガスを使いません(二酸化塩素などを使う)。「塩素ガスを用いる」とあれば誤りです。白液=NaOH+硫化ナトリウム、黒液=蒸解後の廃液、もセットで押さえます。