精密ろ過・限外ろ過・ナノろ過・逆浸透。名前は似ているのに、どれがどこまで除去できるのかで混乱しませんか。4つの膜を「孔の大きさ」で一直線に並べると、すっきり整理できます。
この記事の要点
膜分離法は、膜の孔(あな)の細かさで除去できるものが決まります。孔が細かいほど小さなものまで除けますが、そのぶん必要な圧力が高くなります。
膜分離法は、水を膜に通し、膜を通れるもの(水)と通れないもの(不純物)に分ける処理です。
ろ紙でこすイメージに近いですが、膜の孔は目に見えないほど細かく、その孔の大きさによって、どこまで小さいものを止められるかが変わります。
そこで、孔の細かい順に4種類を一直線で押さえるのが、いちばんの近道です。
孔が細かい(右)ほど小さいものまで除けるが、必要な圧力も高くなる。MF→UF→NF→ROの順で覚える。
精密ろ過(MF:Microfiltration)とは、4つの中でいちばん孔が大きい膜で、懸濁粒子(濁り)や細菌などの比較的大きいものを除去する方法です。
水道水のろ過や、活性汚泥と処理水を分ける用途(後述の膜分離活性汚泥法)などで使われます。
孔が大きいぶん、必要な圧力は低くてすみますが、イオンのような小さなものは止められません。
限外ろ過(UF:Ultrafiltration)とは、MFより孔が細かい膜で、たんぱく質などの高分子やコロイドを除去する方法です。
MFでは通り抜けてしまう、より小さな粒(コロイド状の有機物など)を止められます。
ナノろ過(NF:Nanofiltration)とは、逆浸透より少し孔が大きい膜で、逆浸透に比べて低い圧力で使える方法です。
そのぶん、食塩(塩化ナトリウム)のような小さな1価のイオンの除去率は逆浸透より低くなります。
「逆浸透ほど厳しくないが、ある程度の硬度成分や有機物は除ける」位置づけです。
逆浸透(RO:Reverse Osmosis)とは、4つの中でいちばん緻密な膜で、イオン(溶けている塩類)まで除去できる方法です。海水の淡水化が代表例です。
ふつう、濃い水と薄い水を膜で仕切ると、水は薄いほうから濃いほうへ移動します(浸透)。逆浸透は、これと逆向きの動きをさせる方法です。
濃い水の側に浸透圧より高い圧力をかけると、水だけが膜を通って薄い側(きれいな水の側)へ移動します。塩類は膜に止められて濃い側に残ります。
いちばん小さいものまで止めるため、必要な圧力は4つの中でいちばん高くなります。
孔の細かい順に並べると、除去できるものと必要な圧力の関係がはっきりします。
| 膜(孔が大きい→細かい) | 主に除去できるもの | 必要な圧力 |
|---|---|---|
| 精密ろ過(MF) | 懸濁粒子・細菌 | 低い |
| 限外ろ過(UF) | 高分子・コロイド | やや低い |
| ナノろ過(NF) | 2価イオン・有機物(1価塩は通しやすい) | やや高い |
| 逆浸透(RO) | イオン・塩類まで | 高い |
膜を使う処理でも、電気透析はここまでの4つとは原理がまったく違います。
電気透析とは、イオン交換膜と電気(電圧)を使って、水中のイオン(溶けている塩類)だけを引き抜く方法です。
孔の大きさでこし取るのではなく、プラス・マイナスのイオンを電気の力で膜の向こうへ移動させて分けます。
そのため、溶けている塩類(イオン)を除くのが電気透析の役割で、逆に、電気を帯びていないコロイドや有機物は除けません。
混同しやすい用語
逆浸透(RO) と 電気透析
どちらも「塩類(イオン)を扱う膜処理」なので混同しがちですが、動かし方が違います。
逆浸透は圧力で「水のほうを膜に通す」、電気透析は電気で「イオンのほうを膜の向こうへ動かす」方法です。
覚え方は「逆浸透=押して水を出す」「電気透析=電気でイオンを抜く」。どちらが何を通す(動かす)のかをセットにすると取り違えません。
膜分離法は、汚水処理特論で、各膜の除去対象・操作圧力の大小関係として問われます。
定番は「精密ろ過は懸濁粒子や細菌の除去」「ナノろ過は逆浸透より操作圧力が低く、塩化ナトリウムの除去率が低い」といった、並び順に沿った正しい記述です。
令和7年度の汚水処理特論(問7)では、「電気透析は溶解塩類(イオン)を除去できない」とする記述が誤りとして出されました。電気透析はむしろイオン(溶解塩類)を除くのが役割で、コロイドや有機物のほうを除けない、という向きが正しい判断です。
精密ろ過(MF)・限外ろ過(UF)・ナノろ過(NF)・逆浸透(RO)を、孔が大きい順に並べよ。
答え:精密ろ過(MF)→ 限外ろ過(UF)→ ナノろ過(NF)→ 逆浸透(RO)
右へ行くほど孔が細かく、小さいものまで除けますが、必要な圧力も高くなります。逆浸透はイオン(塩類)まで除けます。
電気透析は、水中の何を除去する方法か。
答え:イオン(溶けている塩類)
電気透析は孔でこすのではなく、電気でイオンを膜の向こうへ動かして分けます。電気を帯びないコロイドや有機物は除けません。
膜分離法は、孔の細かさで除去できるものが決まります。
精密ろ過(MF)→限外ろ過(UF)→ナノろ過(NF)→逆浸透(RO)の順に孔が細かくなり、除去できるものが小さくなる一方、必要な圧力は高くなります。逆浸透はイオン・塩類まで除けます。
電気透析だけは「ふるい」ではなく電気でイオンを抜く別原理で、溶解塩類を除く処理です。
参考
※ この記事の確認日:2026年6月
まちがえやすいポイント
電気透析が何を除くのか、向きを逆にした記述が狙われます。
「電気透析は溶解塩類(イオン)を除去できない」とする記述が誤りです。電気透析はむしろイオン(溶解塩類)を除くのが役割で、コロイドや有機物のほうを除けません。