騒音の「dB(デシベル)」って、なぜ普通の足し算ができないのかで戸惑いませんか。dBは音の大きさを対数で表す単位だから、ふつうの数とは増え方が違います。その仕組みと、dB(A)・等価騒音レベルまでまとめて整理します。
この記事の要点
デシベル(dB)は、音の大きさ(音圧レベル)を対数を使って表す単位です。数値の差がそのまま「何倍」を表すしくみで、ふつうの足し算では合成できません。
騒音の大きさは、ニュースや看板でも「○○dB」という数字で示されます。
ところが、このdBは、長さや重さのような「ふつうの数」とは増え方が違います。
まず「dBとは何を表す単位か」をそろえてから、音の足し算(合成)やdB(A)、等価騒音レベルへと進みます。
デシベル(dB)とは、音の大きさ(音圧レベル)を、基準の音と比べて何倍かを対数で表した単位です。
音の強さ(エネルギー)は、小さな音と大きな音とで非常に大きく開いています。最小可聴値(やっと聞こえる音)から、耳が痛くなるような音まで、その幅は1兆倍をはるかに超えます。
この広い幅をそのままの数で書くと、桁が大きすぎて扱えません。
そこで、基準の音圧に対する比を対数(log)に直し、人が扱いやすい0〜120くらいの数にしたものが音圧レベル、その単位がデシベル(dB)です。
人が聞き取れる音圧レベルは、おおよそ0〜120dBの範囲とされます(令和7年度 騒音・振動概論 問9でも、可聴音圧レベルはおよそ0〜120dBの範囲、と問われています)。
対数を使ういちばんの効果は、けた違いに大きい「倍率」を、見やすい「差」に置きかえられることです。だからdBは、音が何倍になったかを、足し引きの感覚でつかめます。
対数のおかげで、dBの世界ではレベルの差が、音の強さの倍率を表します。
覚えておきたい関係は、次の2つです。
| レベルの差 | 音の強さ(エネルギー)の倍率 |
|---|---|
| 10dB の差 | 約 10倍 |
| 3dB の差 | 約 2倍 |
つまり、20dBの差は10倍の10倍で約100倍、というように、差を足すと倍率は掛け算になります。
この「3dBで2倍」という関係が、次に出てくる音の合成のカギになります。
ここがdBでいちばん引っかかるところです。
同じ大きさの音を2つ重ねても、dBは2倍にも、2倍の数値にもなりません。
音の合成は、レベルの数値ではなく、もとの音の強さ(エネルギー)どうしを足してから、レベルに直します。
同じ大きさの音が2つなら、エネルギーは2倍です。先ほどの表のとおり、エネルギーが2倍になるとレベルは約3dB上がります。
だから、同じ大きさの音を2つ足すと、騒音レベルは約3dB増えるだけです。
例えば60dBの音源と60dBの音源が同じ場所で重なっても、合計は120dBではなく、約63dBにとどまります。
同じ大きさの音2つの合成は、レベルの足し算(60+60)ではなく、エネルギーが2倍=約+3dB。だから60dB+60dBは約63dB。
音の強さが10倍ちがう(=レベル差が10dB以上ある)2つの音を足す場合は、小さいほうはほとんど効きません。大きいほうのレベルがほぼそのまま合成値になります。
もう一つの基本が、騒音計の値に付く(A)、すなわちdB(A)です。
dB(A)とは、人の耳の感じ方に近づけるように、周波数ごとの重みを補正して測った音の大きさです。
人の耳は、同じ音圧でも、周波数(音の高さ)によって聞こえやすさが変わります。とても低い音やとても高い音は、中くらいの高さの音より聞こえにくくなります。
そこで、低い音・高い音の影響を耳の感度に合わせて差し引く補正をかけます。この補正のしかたをA特性といい、A特性で測った値がdB(A)です。
騒音規制法にもとづく騒音の測定では、このA特性を用いることが定められています(補正をかけていない素のレベルとは区別されます)。
実際の騒音は、車が通る・止まる、機械が動く・休む、というように刻々と大きさが変わります。
変動する音を1つの数字で代表させるために使うのが、等価騒音レベルです。
等価騒音レベル(LAeq)とは、ある時間に変動した騒音のエネルギーを平均し、それと同じエネルギーをもつ一定の音のレベルに置きかえた値です。
平均するのはレベルの数値ではなく、音のエネルギーです(前の合成と同じ考え方)。だから、短くても大きな音があると、平均値はそれに引き上げられます。
環境騒音の評価は、この等価騒音レベルを基本としています。短い時間の最大値だけでなく、ある時間ならしてどれくらいうるさいか、を表せるためです。
混同しやすい用語
音圧レベル と 音の大きさのレベル(ラウドネスレベル)
どちらも「音の大きさ」を表すように見えますが、別物です。音圧レベルは、音の物理的な強さを基準と比べてdBで表した値で、周波数による聞こえ方の違いは考えていません。
一方、音の大きさのレベル(ラウドネスレベル、単位フォン phon)は、人が実際にどれくらいの大きさに聞こえるかを、基準の音と聞き比べて表した感覚的な量です。
見分け方は、単位と立場です。物理量としての強さなら音圧レベル(dB)、聞こえ方の感覚なら音の大きさのレベル(phon)。試験では、この2つを混ぜた選択肢が出ることがあります。
同じ大きさ(同じレベル)の音を2つ重ねると、騒音レベルはおよそ何dB増えるか。
答え:約3dB
合成は音の強さ(エネルギー)の足し算です。同じ大きさの音2つならエネルギーは2倍で、2倍は約+3dBにあたります。60dB+60dBは120dBではなく約63dBです。
音圧レベルが10dB高いと、音の強さ(エネルギー)はおよそ何倍か。
答え:約10倍
dBは対数なので、レベルの差が倍率を表します。10dBの差は約10倍、3dBの差は約2倍です。
騒音計で騒音を測るとき、人の耳の感じ方に合わせて周波数を補正する特性を何というか。
答え:A特性(測った値がdB(A))
耳は低い音・高い音を聞き取りにくいので、その分を差し引く補正がA特性です。騒音規制法にもとづく測定でも用いられます。
デシベル(dB)は、音の大きさを対数で表す単位です。だから数値の差がそのまま「何倍」を表し、ふつうの足し算では合成できません。
同じ大きさの音2つの合成は約+3dB、レベルが10dB違えば音の強さは約10倍。耳の感じ方に合わせた測定値がdB(A)=A特性、変動する音をエネルギーでならした値が等価騒音レベル(LAeq)です。
この「差が倍率」「合成・平均はエネルギー」という考え方を押さえると、騒音・振動概論の数値問題も読み解きやすくなります。
参考
※ この記事の確認日:2026年6月
まちがえやすいポイント
音の合成を、dBの数値をそのまま足す計算だと思い込ませる引っかけが狙われます。
同じ大きさの音を2つ足しても120dBではなく、約3dB増えるだけです(60dB+60dBは約63dB)。合成するのはレベルの数値ではなく音の強さ(エネルギー)です。