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シアンと六価クロムの排水処理の違い(酸化分解と還元沈殿)

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「シアンは酸化、六価クロムは還元」と聞いても、どっちがどっちか・なぜ逆向きの処理なのかで混乱しませんか。2つの処理の違いを、薬品と反応の向きから整理します。

この記事の要点

シアンと六価クロムは、どちらも有害物質を含む排水ですが、処理の向きが正反対です。

  • シアン=酸化して分解する(アルカリ塩素法。CN⁻を酸化し、最終的に窒素と二酸化炭素にする)
  • 六価クロム=還元して沈める(三価クロムにしてから、中和して水酸化クロムとして沈殿除去する)

「酸化で壊すシアン」「還元して沈めるクロム」という向きの違いが、覚える軸です。

工場排水に含まれる有害物質は、種類ごとに処理のしかたが違います。

なかでも、シアンと六価クロムは「薬品で反応させて無害にする・取り除く」点は似ていますが、反応の向き(酸化か還元か)が正反対です。

この向きを取り違えると処理が成り立たないため、まず2つを並べて押さえます。

シアン排水の処理(酸化して分解する)

シアン排水の処理とは、シアン化物イオン(CN⁻)を酸化して、最終的に窒素や二酸化炭素にまで分解する処理です。

代表的な方法がアルカリ塩素法です。

アルカリ塩素法は、アルカリ性にした排水に塩素剤(次亜塩素酸ナトリウムなど)を加えて、シアンを段階的に酸化していく方法です。

処理は二段階で進みます。

一段反応では、アルカリ性で塩素を加え、シアン化物イオンをシアン酸イオン(CNO⁻)に酸化します。

二段反応では、pHを中性付近(7〜8程度)に下げて塩素を加え、シアン酸イオンをさらに酸化分解して、窒素と二酸化炭素(炭酸塩)にまで変えます。

つまり、シアンは沈めて取り除くのではなく、酸化して別の無害な物質に作り変えて壊すのが基本です。

流れをひと言でいうと、「アルカリ性で半分酸化(シアン酸)→中性付近でさらに酸化(窒素・二酸化炭素)」という二段の酸化です。

六価クロム排水の処理(還元してから沈める)

六価クロム排水の処理とは、毒性の強い六価クロム(Cr⁶⁺)を還元して三価クロム(Cr³⁺)に変え、中和して水酸化クロムとして沈殿除去する処理です。

六価クロムは、そのままでは水酸化物として沈みにくく、毒性も強い状態です。

そこで、まず還元剤(亜硫酸ナトリウムや亜硫酸水素ナトリウムなど)を加えます。

還元は酸性のもとで進めるのが基本で、ここで六価クロムが、より毒性が低く沈みやすい三価クロムに変わります。

次に、アルカリ剤を加えて中和(pHを上げる)します。

すると三価クロムが水酸化クロム(水酸化物)として沈殿するので、これを凝集沈殿で固液分離して取り除きます。

シアンが「壊す」処理だったのに対し、六価クロムは還元してから沈めて取り除く処理だと整理できます。

シアンと六価クロムの違い

2つの処理の違いを表にまとめます。

項目 シアン 六価クロム
反応の向き 酸化 還元
代表的な方法 アルカリ塩素法 還元(亜硫酸ナトリウムなど)+中和沈殿
使う薬品 塩素剤(次亜塩素酸ナトリウムなど) 還元剤(亜硫酸ナトリウムなど)+アルカリ剤
処理のねらい 分解して無害化(窒素・二酸化炭素に) 沈殿させて除去(水酸化クロム)
最後に残る形 シアンは気体・溶解成分まで分解/六価クロムは三価クロムの汚泥(沈殿)として回収

いちばんの対比は「反応の向き」です。図で押さえます。

シアン(CN⁻) アルカリ塩素法で酸化 酸化(壊す) シアン酸イオンを経て 窒素・二酸化炭素へ分解 六価クロム(Cr⁶⁺) 還元剤で還元 還元→中和(沈める) 三価クロムにして中和し 水酸化クロムとして沈殿

シアンは酸化して分解(壊す)、六価クロムは還元してから沈める(取り除く)。反応の向きが正反対なのが覚える軸。

なぜ向きが逆なのか、という疑問が残ります。

シアン化物イオンは、酸化していくと炭素や窒素を含む簡単な物質(最終的に窒素・二酸化炭素)に分解できるため、酸化して壊すのが合理的です。

一方の六価クロムは、そのままでは沈みにくく毒性も強いので、いったん還元して沈みやすい三価クロムに変えてから、水酸化物として沈殿させます。

水質有害物質特論での問われ方

シアンと六価クロムの処理は、水質有害物質特論で重金属・有害物質ごとの処理方法として問われます。

シアンでは、アルカリ塩素法の反応条件が定番です。

具体的には「一段反応はアルカリ性で塩素を加える」「二段反応はpHを中性付近(7〜8)に下げて塩素を加える」という、pHと段階の対応が問われます。

このとき二段反応を「酸性にして塩素を加える」と書くのは誤りです(令和7年度 水質有害物質特論 問6で、この記述が誤りとして出題されました)。正しくは中性付近に下げます。

六価クロムでは、「還元してから沈殿させる」という処理の順番が核心です。

六価クロムをそのまま水酸化物にしようとする・はじめに酸化すると書かれていたら誤り、と判断できるようにしておきます。

まちがえやすいポイント

アルカリ塩素法の二段反応のpHが狙われます。

二段反応を「酸性にして塩素を加える」と書くのは誤りで、正しくは中性付近(7〜8)に下げます。

混同しやすい用語

酸化 と 還元

シアンとクロムの処理は、どちらも薬品を加えて反応させるため、酸化と還元のどちらだったかを混同しがちです。

見分け方は処理のねらいです。シアンは「分解して壊す」ので酸化、六価クロムは「沈みやすい三価クロムに変えて取り除く」ので還元です。

覚え方は「シアンは塩素で酸化、クロムは亜硫酸で還元」。加える薬品(塩素剤か還元剤か)とセットにすると取り違えません。

理解度チェック

Q.

シアンと六価クロムの排水処理は、それぞれ酸化・還元のどちらの反応で行うか。

答え:シアン=酸化/六価クロム=還元

シアンはアルカリ塩素法で酸化して分解し、六価クロムは還元して三価クロムにしてから沈殿除去します。向きが正反対です。

Q.

アルカリ塩素法の一段反応は、アルカリ性・酸性のどちらで塩素を加えるか。

答え:アルカリ性

一段反応はアルカリ性で塩素を加えてシアン酸イオンにし、二段反応はpHを中性付近(7〜8)に下げて塩素を加え、窒素・二酸化炭素にまで分解します。二段を「酸性」とするのは誤りです。

Q.

六価クロムは、還元して三価クロムに変えたあと、どのようにして取り除くか。

答え:中和して水酸化クロム(水酸化物)として沈殿させ、固液分離する

三価クロムはアルカリ側で水酸化物として沈むため、中和したうえで凝集沈殿で除去します。

まとめ

シアンと六価クロムは、どちらも有害物質を含む排水ですが、処理の向きが正反対です。

シアンはアルカリ塩素法で酸化して分解(窒素・二酸化炭素へ)、六価クロムは還元して三価クロムにしてから中和して水酸化クロムとして沈殿除去します。「酸化で壊すシアン」「還元して沈めるクロム」が軸です。

シアンではアルカリ塩素法のpH(一段=アルカリ性/二段=中性付近7〜8。「二段=酸性」は誤り)、六価クロムでは還元→沈殿の順番が問われます。

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参考

  • 水質汚濁防止法(e-Gov)/有害物質に係る排水基準(環境省告示)
  • 水質有害物質特論(一般社団法人 産業環境管理協会 公害防止管理者等国家試験 公式PDF・出題範囲)
  • JIS K 0102 工場排水試験方法(シアン・クロムの分析方法)
公害防止管理者 独学ノート 編集部

この記事を書いた人

公害防止管理者 独学ノート 編集部

公害防止管理者試験の用語・法令・計算を、環境省の告示や過去問に照らして、独学者の目線で整理しています。

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