排水を処理して戻すのが再利用じゃないの?処理せずに使い回せるの?と思いませんか。一度使った水を、きれいさを必要としない次の用途へそのまま回すのがカスケード利用です。整理します。
この記事の要点
カスケード利用は、一度使った水を処理せずそのまま、より低い水質でよい別の用途へ順に使っていく、水の再利用のしかたです。(カスケード=階段状の滝)
工場では大量の水を使うため、節水のために水を再利用します。その代表的な考え方の1つがカスケード利用です。
「カスケード」は階段状に水が落ちていく滝のこと。上の段で使った水を、下の段(より汚れてもよい用途)へそのまま流して使う、というイメージです。
カスケード利用とは、ある用途に使った水を、処理せずそのまま、より低い水質でかまわない別の用途に使うことです。
たとえば、比較的きれいなまま使い終わったコンプレッサーの冷却水を、そのまま酸洗工程の洗浄水として使う、といった使い方です。
処理装置を通して元の用途に戻す(循環利用)のではなく、きれいさを必要としない次の用途へ一方向に渡すのが特徴です。
カスケード利用は、きれいな水が要る用途から、使った水を処理せずそのまま、汚れてもよい用途へ階段状に渡す。
カスケード利用の利点は、特別に高価な施設がいらず、運転費用も安いことです。処理して戻すのではなく、ただ次の用途へ回すだけだからです。そのぶん新しく取り込む水(用水)を減らせ、節水になります。
ただし、成り立つには条件があります。使う側にとって、前段から来る排水の水質や水温が許容できることです。きれいさや温度の条件が合わなければ、そのままでは使えません。
混同しやすい用語
カスケード利用 と 循環利用(再循環)
どちらも水の再利用ですが、流れ方が違います。
カスケード利用は、使った水を別の(下位の)用途へ一方向に渡す方式。循環利用は、処理や冷却をして同じ用途に戻してくり返し使う方式です。
「カスケード=階段状に次へ流す」「循環=同じ用途でぐるぐる回す」と分けると整理できます。
カスケード利用は、大規模水質特論の水の再利用・節水の分野で、定義・メリット・適用条件として問われます。
令和7年度の大規模水質特論(問5)では、鉄鋼業で鋼材に直接かけた「直接冷却水」を、懸濁物質の混入がほとんどないので洗浄用水にカスケード利用する、とする記述が誤りでした。直接冷却水は鋼材に直接触れるため懸濁物質の混入が多く、そのままでは洗浄用水に向きません。
水のカスケード利用とは、どのような再利用のしかたか。
答え:一度使った水を処理せずそのまま、より低い水質でよい別の用途へ順に使うこと
処理して同じ用途に戻す循環利用とは違い、別の(下位の)用途へ一方向に渡します。
カスケード利用が成り立つための条件は何か。
答え:使う側が、前段から来る排水の水質や水温を許容できること
水質・水温が合わなければ、そのままでは次の用途に使えません。
カスケード利用は、使った水をそのまま次の用途へ階段状に回す、水の再利用のしかたです。
処理して戻すのではなく、きれいさが要る用途から汚れてもよい用途へ一方向に渡します。特別な施設がいらず安価ですが、使う側が水質・水温を許容できることが条件です。
「直接冷却水は懸濁物質の混入が多い」など、前段の水質を取り違えないことがポイントです。
参考
※ この記事の確認日:2026年6月
まちがえやすいポイント
カスケード利用できる水質かどうかの判断が狙われます。
直接冷却水を「懸濁物質の混入がほとんどないので洗浄用水にカスケード利用する」とする記述は誤りです。直接冷却水は鋼材に直接触れるため懸濁物質の混入が多く、そのままでは洗浄用水に向きません。