冷却水を循環させて使うと、なぜ塩類が濃くなるの?どう薄めるの?と思いませんか。蒸発で水だけ抜ける、というところから濃縮倍数を整理します。
この記事の要点
開放循環式冷却水では、冷却塔で水が蒸発するときに塩類が残り、循環水の塩類が濃縮していきます。その度合いが濃縮倍数です。
工場の冷却水は、使って温まった水を冷却塔で冷やして、くり返し使います(開放循環式)。冷却塔では水を空気にさらして冷やすため、一部が蒸発します。
水が蒸発するとき、出ていくのは水だけで、溶けていた塩類は循環水に残ります。
循環をくり返すたびに、水は蒸発で減り、塩類は残っていくので、循環水の塩類はだんだん濃くなります(濃縮)。濃くなりすぎると、配管や熱交換器にスケール(析出物)が付くため、濃縮の度合いを管理します。
濃縮倍数とは、補給水(新しく足す水)に対して、循環水の塩類が何倍に濃縮しているかを表す値です。
水の出入りで見ると、塩類を濃縮させるのは蒸発、塩類を系外へ出して薄めるのは飛散(冷却塔から飛び散る水)とブロー(意図的に抜く水)です。蒸発水量をE、飛散水量をD、ブロー水量をBとすると、濃縮倍数は次のように表せます。
濃縮倍数 = (E + D + B)÷(D + B)
濃縮しすぎを防ぐには、ブロー(濃縮した循環水の一部を系外へ抜くこと)を使います。
ブローを増やすと、濃縮した塩類が系外へ多く抜けるので、濃縮倍数は下がり(薄まり)ます。逆に、ブローを絞ると濃縮倍数は上がります。
蒸発は水だけ抜けて塩類が残り濃縮、飛散・ブローは塩類ごと系外へ抜けて薄まる。ブローを増やすと濃縮倍数は下がる。
濃縮倍数は、大規模水質特論で、冷却水系の水収支の計算として問われます。
令和7年度の大規模水質特論(問6)では、蒸発・飛散・ブローの各水量と濃縮倍数が与えられ、ブロー水量を2倍に増やすと濃縮倍数がいくつになるかを求める問題が出ました。ブローを増やすと濃縮倍数が下がる、という関係(この問題では3.4から2.5へ)を、式で扱えるようにしておきます。
混同しやすい用語
蒸発(濃縮する) と ブロー・飛散(薄める)
水の出入りで、塩類が濃くなるのか薄まるのか、向きが逆になります。
蒸発は水だけ抜けるので塩類が濃縮、飛散・ブローは塩類ごと抜けるので薄まります。
「蒸発=濃くする、ブロー=薄くする」と分けると、濃縮倍数の増減を取り違えません。
循環冷却水で塩類が濃縮するのは、何が抜けるからか。
答え:蒸発で水だけが抜けるから(塩類は循環水に残る)
水が減って塩類が残るので、循環をくり返すと濃縮します。
ブローを増やすと、濃縮倍数は上がるか下がるか。
答え:下がる
濃縮した塩類が系外へ多く抜けて薄まるためです。濃縮しすぎ(スケール)を防ぐにはブローを使います。
開放循環式冷却水では、蒸発で塩類が濃縮します。
濃縮倍数は(蒸発+飛散+ブロー)÷(飛散+ブロー)で表され、ブローを増やすと塩類が系外へ抜けて濃縮倍数は下がります。
「蒸発で濃縮、ブローで薄める」という向きを取り違えないようにします。
参考
※ この記事の確認日:2026年6月
まちがえやすいポイント
ブローを増やすと濃縮倍数が上がるか下がるか、向きが狙われます。
ブロー(濃縮水の系外排出)を増やすと、濃縮倍数は下がります。塩類が系外へ多く抜けて薄まるためです。濃縮倍数=(蒸発+飛散+ブロー)÷(飛散+ブロー)の式もセットで押さえます。