公害防止管理者 独学ノート

公害防止管理者 独学ノート
  1. HOME
  2. 水質関係の用語
  3. > 地下水の水質環境基準

地下水の水質環境基準(「直ちに達成」と例外は自然的原因)

公害防止管理者 独学ノート

地下水の環境基準は、いつまでに達成すればいいの?例外(達成しなくてよい場合)はどんなとき?で迷いませんか。原則「直ちに達成」と、その例外を整理します。

この記事の要点

地下水の水質環境基準は、人の健康を保護するために、項目ごとに基準値が定められた目標です。

  • 達成のしかた:設定後直ちに達成され、維持されるよう努める(達成期間を別に設けない)。
  • 適用除外(達成を求めない例外):汚染が専ら自然的原因による場合だけ。「特定の汚染源による場合」は誤り。
  • 測定:地下水の流動状況等を勘案し、汚染を的確に把握できる場所で、項目ごとに行う。

地下水は、飲み水や農業用水として使われる大切な水資源です。

そこで、地下水がどの程度きれいであるべきかの目標として、水質環境基準が定められています。

試験では、この基準の「いつ達成するか」と「達成しなくてよい例外」が、言葉のすり替えで問われます。まずは基準の中身からそろえます。

地下水の水質環境基準とは

地下水の水質環境基準とは、人の健康を保護するうえで維持されることが望ましい、地下水の水質の目標値です。

カドミウムやひ素、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素など、人の健康に関わる項目ごとに、それぞれの基準値が定められています。

これは「ここまでなら汚れてよい」という許可ではなく、行政が達成をめざす目標(あるべき状態)です。

工場などが直接守るべき数値である排出の規制(排水基準・地下浸透の禁止)とは役割が異なります。汚染を防ぐしくみの細部は、そちらの記事で扱います。

原則は「設定後直ちに達成」

地下水の環境基準には、達成までの猶予期間が原則ありません。

基準は、設定後直ちに達成され、維持されるよう努めるのが原則です。

大気の環境基準のように「○年以内に達成」といった達成期間を別に設けるのではなく、設定された時点で達成されている状態を目標にする、という考え方です。

「いつまでに」を問われたら、地下水は「直ちに」と覚えておきます。

達成を求めない例外(適用除外)

ただし、この「直ちに達成」を求められない例外(適用除外)が1つだけあります。

それは、地下水の汚染が専ら自然的原因によることが明らかであると認められる場合です。

地質の中にもともと含まれる物質(例:ひ素など)が自然に溶け出した結果であるなど、人の活動が原因ではないと明らかなときは、基準の達成を一律に求めても意味がないためです。

ここで取り違えやすいのが、例外を「特定の汚染源によることが明らか」な場合と覚えてしまうことです。

これは逆で、誤りです。原因がはっきりした汚染源(工場など)にあるなら、むしろ対策をして達成をめざす対象です。例外になるのは、原因が人ではなく自然にある場合だけです。

達成を求めない例外になるのは? 専ら自然的原因 地質中の物質が自然に 溶け出した等 ○ 例外になる 特定の汚染源 工場など原因が はっきりしている × 達成をめざす

例外になるのは「専ら自然的原因」の場合だけ。原因が特定の汚染源にあるなら、対策して達成をめざす(例外ではない)。

測定はどこで行うか

地下水が基準を満たしているかは、測定して確認します。

測定は、基準が定められた項目ごとに行います。

場所は、その地域の地下水の流動状況等を勘案して、水質汚濁の状況を的確に把握できる場所で行います。

地下水は地中をゆっくり流れて広がるため、汚染を正しくつかめる地点を選ぶ必要がある、ということです。

公共用水域の環境基準との違い

同じ水質環境基準でも、地下水と公共用水域(河川・湖沼・海域)では性格が分かれます。

公共用水域の基準は、人の健康を守る健康項目と、水のよごれ等を扱う生活環境項目の2本立てです。

一方、地下水の基準は、人の健康の保護に関する項目が中心です(生活環境項目のような水域類型ごとの段階分けはしません)。

2つの違いを表にまとめます。

項目 地下水の環境基準 公共用水域の環境基準
守る対象 人の健康の保護が中心 人の健康(健康項目)+生活環境(生活環境項目)
達成のしかた 設定後直ちに達成・維持に努める 健康項目は直ちに、生活環境項目は水域類型ごとに目標
達成を求めない例外 汚染が専ら自然的原因による場合
測定で勘案すること 地下水の流動状況等 水域・利用目的の類型等

地下水は地中を流れる水という性質から、「直ちに達成」「自然的原因の例外」「流動状況を勘案した測定」が押さえどころになります。

過去問での問われ方

地下水の環境基準は、水質概論で、条文の言葉を一部すり替えた下線問題として問われます。

令和3年度 水質概論 問1では、地下水の水質汚濁に係る環境基準について、下線部のうち誤っているものを選ぶ形で出題されました。

誤りとされたのは、適用除外を「特定の汚染源によることが明らかであると認められる場合」とした下線部(選択肢(5))でした。正しくは「専ら自然的原因による場合」です。

同じ問題では、測定を項目ごとに行うこと、地下水の流動状況等を勘案すること、汚染の状況を的確に把握できる場所で行うこと、基準は設定後直ちに達成・維持に努めること(選択肢(1)〜(4))が、いずれも正しい記述として置かれていました。

「除外は自然的原因」「達成は直ちに」をセットで押さえておけば、この形は確実に取れます。

まちがえやすいポイント

適用除外の条文の言葉をすり替えた下線問題が狙われます。

適用除外を「特定の汚染源によることが明らかであると認められる場合」とするのが誤りで、正しくは「専ら自然的原因による場合」でした(令和3年度 水質概論 問1)。

理解度チェック

Q.

地下水の環境基準は、いつまでに達成することを目標としているか。

答え:設定後直ちに達成され、維持されるよう努める。

達成期間を別に設けるのではなく、設定された時点で達成されている状態を目標にします。

Q.

地下水の環境基準で、達成を求められない例外(適用除外)はどんな場合か。

答え:汚染が専ら自然的原因によることが明らかであると認められる場合。

「特定の汚染源による場合」は誤りです。原因がはっきりした汚染源にあるなら、むしろ対策して達成をめざす対象です。

Q.

地下水の環境基準の達成状況を測定する場所は、何を勘案して選ぶか。

答え:地下水の流動状況等を勘案し、水質汚濁の状況を的確に把握できる場所で行う。

測定は、基準が定められた項目ごとに実施します。

まとめ

地下水の水質環境基準は、人の健康を保護するための目標値で、項目ごとに定められています。

原則は設定後直ちに達成・維持に努めること。達成を求めない例外は、汚染が専ら自然的原因による場合だけで、「特定の汚染源」は誤りです。

測定は地下水の流動状況等を勘案し、汚染を的確に把握できる場所で項目ごとに行います。試験では適用除外の言葉のすり替えが繰り返し問われます。

水質概論の過去問解説 一覧へ

参考

  • 地下水の水質汚濁に係る環境基準について(環境省告示。人の健康の保護に関する項目・達成期間・測定)
  • 環境基本法第16条(環境基準)
  • 一般社団法人 産業環境管理協会 公害防止管理者等国家試験 出題範囲・公式正答
公害防止管理者 独学ノート 編集部

この記事を書いた人

公害防止管理者 独学ノート 編集部

公害防止管理者試験の用語・法令・計算を、環境省の告示や過去問に照らして、独学者の目線で整理しています。

Topへ >>