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排煙脱硫と排煙脱硝の違い(何を除去するか・代表的な方式)

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「脱硫」と「脱硝」、一字違いでどっちがどっちか、何を取り除く技術なのかで混乱しませんか。2つが除去する物質と、代表的な方式の違いをまとめて整理します。

この記事の要点

排煙脱硫と排煙脱硝は、どちらも工場や火力の排ガスから有害な汚染物質を取り除く技術ですが、対象がちがいます。

  • 排煙脱硫=硫黄酸化物(SOx)を除く。代表は石灰スラリー吸収法(湿式・副生物は石こう)
  • 排煙脱硝=窒素酸化物(NOx)を除く。代表はアンモニア接触還元法(SCR)(乾式)

「脱硫(だつりゅう)」と「脱硝(だっしょう)」は、字も読みも似ていて取り違えやすい用語です。

どちらも煙突から出る前の排ガスをきれいにする技術ですが、ねらう物質が別です。

まず「硫」と「硝」がそれぞれ何を指すのかを押さえると、混乱しなくなります。

排煙脱硫とは(SOxを除く)

排煙脱硫とは、排ガス中の硫黄酸化物(SOx。主に二酸化硫黄 SO₂)を取り除く技術です。

「硫」は硫黄(いおう)のことです。

燃料に含まれる硫黄分が燃えると、二酸化硫黄(SO₂)などの硫黄酸化物(SOx)になり、酸性雨や呼吸器への影響の原因になります。

これを煙突から出す前に取り除くのが、排煙脱硫です。

もっとも広く使われる方式が、石灰スラリー吸収法です。

石灰石(炭酸カルシウム)などをといた液(スラリー)にSO₂を吸収させて中和し、副生物として石こうを回収します。この石こうは建材などに再利用できます。

このように水(吸収液)を使う方式を湿式といい、脱硫の主流です。ほかにダブルアルカリ法(水酸化ナトリウムを使う)や、水酸化マグネシウムスラリー吸収法などがあります。

水を使わず、活性炭などに吸着させて除く乾式の方式もあります。

排煙脱硝とは(NOxを除く)

排煙脱硝とは、排ガス中の窒素酸化物(NOx。主に一酸化窒素 NO と二酸化窒素 NO₂)を取り除く技術です。

「硝」は硝酸の「硝」で、窒素の酸化物(NOx)を指します。硫黄(硫)とは別物です。

NOxは、光化学スモッグや酸性雨の原因になる物質です。

これを取り除くのが、排煙脱硝です。

もっとも採用実績が多い方式が、アンモニア接触還元法(選択的接触還元法。SCRとも呼ばれます)です。

触媒を使い、排ガスにアンモニア(NH₃)を加えて、NOxを無害な窒素(N₂)と水(H₂O)に還元します。このときNOとアンモニアは1:1のモル比で反応します。

アンモニア接触還元法は、水を使わない乾式の技術です。

ほかに、触媒を使わずに高温域でアンモニアや尿素を吹き込む無触媒還元法や、活性炭を使って脱硫と脱硝を同時に行う方式(活性炭法)もあります。

排煙脱硫と排煙脱硝の違い

2つの違いを表にまとめます。

項目 排煙脱硫 排煙脱硝
取り除く物質 硫黄酸化物(SOx・主にSO₂) 窒素酸化物(NOx・主にNO)
「硫」「硝」の意味 硫=硫黄 硝=窒素の酸化物
代表的な方式 石灰スラリー吸収法(湿式) アンモニア接触還元法(SCR・乾式)
代表方式の乾式/湿式 湿式(吸収液を使う) 乾式(水を使わない)
代表方式の副生物 石こう(回収・再利用) 窒素と水(無害化)

名前と対象、代表方式の組合せを、図でも押さえます。

排ガス きれいな煙 排煙脱硫 SOx を除く 石灰スラリー 吸収法(湿式) → 石こう回収 排煙脱硝 NOx を除く アンモニア 接触還元(乾式) → N₂・H₂O 硫=硫黄(SOx) / 硝=窒素の酸化物(NOx) 脱硫の代表は湿式、脱硝の代表は乾式

脱硫はSOxを石灰スラリー(湿式)で、脱硝はNOxをアンモニア接触還元(乾式)で除くのが代表。「硫=硫黄」「硝=窒素」で対象を取り違えないことが先決。

乾式と湿式の考え方

脱硫・脱硝の方式は、乾式湿式に大きく分けて整理できます。

湿式は、吸収液(水にとかした薬剤)に汚染物質を吸収・反応させて除く方式です。脱硫の主流である石灰スラリー吸収法がこれにあたります。

乾式は、水を使わず、触媒や吸着剤を使って気体のまま処理する方式です。脱硝の主流であるアンモニア接触還元法がこれにあたります。

このため、ざっくりした対応として「脱硫の代表=湿式、脱硝の代表=乾式」と覚えておくと、方式の区別がつかみやすくなります。

ただし、脱硫にも乾式(活性炭吸着など)はあり、脱硝にも吸収液を使う方式はあります。あくまで「代表方式がどちらか」という整理である点に注意します。

大気特論での問われ方

排煙脱硫・排煙脱硝は、大気特論で「方式の名前」「吸収剤や副生物の組合せ」「乾式か湿式か」を入れ替える形で問われます。

脱硫では、脱硫プロセスと吸収剤・副生物の組合せ(たとえば石灰スラリー吸収法と石こう、ダブルアルカリ法、活性炭による酸化吸収法など)の正誤が問われます。

脱硝では、アンモニア接触還元法が我が国で最も採用実績が多いこと、NOとアンモニアが1:1のモル比で反応すること、無触媒還元法や活性炭による同時脱硫・脱硝などが問われます。

覚え方は単純で、硫=硫黄(SOx)/硝=窒素(NOx)を取り違えないこと、そして脱硫の代表は湿式・石こう回収、脱硝の代表は乾式・アンモニア接触還元をセットで押さえることです。

混同しやすい用語

乾式 と 湿式

どちらも脱硫・脱硝の方式を分ける言葉で、字面が近いため取り違えやすい区分です。

見分け方は「水(吸収液)を使うかどうか」です。吸収液にとかして反応させるのが湿式、水を使わず触媒や吸着剤で処理するのが乾式です。

代表方式で覚えると速く、脱硫の主流(石灰スラリー吸収法)が湿式、脱硝の主流(アンモニア接触還元法)が乾式です。

まちがえやすいポイント

方式名・吸収剤・副生物・乾式/湿式を入れ替えた組合せが狙われます。

硫=硫黄(SOx)/硝=窒素(NOx)を取り違えないこと、脱硫の代表は湿式・石こう回収、脱硝の代表は乾式・アンモニア接触還元をセットで押さえます。

理解度チェック

Q.

排煙脱硫と排煙脱硝のうち、窒素酸化物(NOx)を取り除く技術はどちらか。

答え:排煙脱硝

「硝」は窒素の酸化物(NOx)を指します。硫黄酸化物(SOx)を除くのは排煙脱硫のほうです。「硫=硫黄/硝=窒素」で取り違えません。

Q.

排煙脱硫の代表である石灰スラリー吸収法で回収される副生物は何か。

答え:石こう

石灰(炭酸カルシウム)の吸収液でSO₂を中和し、副生物として石こうを回収して再利用します。水を使う湿式の方式です。

Q.

脱硝の代表であるアンモニア接触還元法(SCR)は、湿式の技術である。〇か×か。

答え:×

アンモニア接触還元法は乾式の脱硝技術です。「湿式」とするのは誤りです。脱硫の代表(石灰スラリー吸収法)が湿式なので、逆に取り違えないように注意します。

まとめ

排煙脱硫と排煙脱硝は、どちらも排ガスから有害物質を取り除く技術ですが、対象がちがいます。

排煙脱硫はSOx(硫黄酸化物)を除き、代表は石灰スラリー吸収法(湿式・石こう回収)。排煙脱硝はNOx(窒素酸化物)を除き、代表はアンモニア接触還元法(SCR・乾式)です。

「硫=硫黄/硝=窒素」と「脱硫の代表=湿式/脱硝の代表=乾式」をセットで覚えておけば、組合せ問題でも取り違えません。

大気の規制(ばい煙・有害物質の排出基準)も見る

参考

  • 大気汚染防止法(e-Gov。ばい煙=硫黄酸化物・ばいじん・有害物質、窒素酸化物の規制)
  • JIS による排ガス中の硫黄酸化物・窒素酸化物の試験/自動計測器に関する規格
  • 大気特論(一般社団法人 産業環境管理協会 公害防止管理者等国家試験 公式問題・出題範囲)
公害防止管理者 独学ノート 編集部

この記事を書いた人

公害防止管理者 独学ノート 編集部

公害防止管理者試験の用語・法令・計算を、環境省の告示や過去問に照らして、独学者の目線で整理しています。

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