同じNOxなのに、サーマルとフューエルって何が違うの?と迷いませんか。違いは「窒素がどこから来たか」です。出どころが分かると、なぜ抑え方まで変わるのかが見えてきます。
この記事の要点
燃焼で出るNOx(窒素酸化物)は、窒素の出どころで2種類に分けられます。
ボイラや炉の燃焼で出るNOxは、大気汚染の主要な原因物質です。これを抑えるには、まず「どこの窒素がNOxになったのか」を分けて考えます。
NOxの窒素の出どころは2つ。燃焼用の空気か、燃料そのものかです。これで対策の効き方が変わります。
サーマルNOxとは、燃焼用空気の中にある窒素(N₂)が、高温で酸素と反応してできるNOxです。
空気の約8割は窒素です。ふだんは安定していますが、火炎のような高温の場では酸素と結びついてNOになります。
そのため、サーマルNOxは火炎温度が高いほど、酸素濃度が高いほど、高温域での滞留時間が長いほど多く生成します。
フューエルNOxとは、燃料そのものに含まれる窒素分が、燃焼で酸化してできるNOxです。
石炭や重油などには窒素分が含まれており、これが燃えるときに酸素と結びついてNOxになります。
フューエルNOxは燃料中の窒素量と、燃焼域の酸素濃度に影響されます。サーマルNOxほど火炎温度の影響を受けません。
サーマルNOxは空気中のN₂が高温で酸化、フューエルNOxは燃料中の窒素分が酸化してできる。出どころが違う。
出どころが違うので、効く抑制法も変わります。燃焼のしかたを工夫してNOxを減らす方法を低NOx燃焼といいます。
| 抑える手段 | サーマルNOx | フューエルNOx |
|---|---|---|
| 火炎温度を下げる | 効く | 効きにくい |
| 酸素濃度を下げる | 効く | 効く |
代表的な低NOx燃焼には、次のものがあります。
NOxの生成機構は、大気特論で、抑制方式と効果の組合せとして問われます。
令和7年度の大気特論(問10)では、各抑制方式の理由と、サーマル・フューエルそれぞれへの効果が問われ、二段燃焼は「燃焼域の酸素濃度低下」と「火炎温度低下」の両方が働くため、サーマルNOx・フューエルNOxの両方に抑制効果がある、とするのが正しい組合せでした。
一方、排ガス再循環は主に火炎温度を下げる方式なので、サーマルNOxに効き、フューエルNOxには効きにくい、と整理できます。
混同しやすい用語
サーマルNOx と フューエルNOx
名前だけでは区別しにくいので、窒素の出どころで分けます。
サーマル=thermal(熱)。空気中の窒素が高温で酸化。フューエル=fuel(燃料)。燃料中の窒素が酸化。
「サーマルは温度(火炎温度を下げると減る)」「フューエルは燃料(燃料の窒素と酸素濃度)」とセットにすると取り違えません。
サーマルNOxとフューエルNOxは、窒素がどこから来るかでどう違うか。
答え:サーマルNOxは空気中の窒素(N₂)、フューエルNOxは燃料中の窒素分から生じる
サーマルNOxは高温(火炎温度)で空気中のN₂が酸化、フューエルNOxは燃料に含まれる窒素が酸化してできます。
二段燃焼がサーマル・フューエルの両方のNOxに効くのはなぜか。
答え:燃焼域の酸素濃度を下げると同時に、火炎温度も下げるから
酸素濃度低下は両方に、火炎温度低下はサーマルに効くため、二段燃焼は両方を抑制できます。
NOxは、窒素の出どころでサーマルとフューエルに分かれます。
サーマルNOxは空気中の窒素(N₂)が高温で酸化してできるため火炎温度を下げると減り、フューエルNOxは燃料中の窒素が酸化してできるため酸素濃度を下げると減ります。
二段燃焼は酸素濃度低下と火炎温度低下の両方が働くので、両方のNOxに効く、と押さえておきます。燃焼後に処理する排煙脱硝と合わせて使われます。
参考
※ この記事の確認日:2026年6月
まちがえやすいポイント
各抑制方式が、サーマル・フューエルのどちらに効くかの組合せが狙われます。
二段燃焼は「酸素濃度低下」と「火炎温度低下」の両方が働き、サーマルNOx・フューエルNOxの両方に効くのが正しい組合せ。排ガス再循環は主に火炎温度を下げる方式で、フューエルNOxには効きにくい点と取り違えないようにします。