令和5年度 ばいじん・粉じん特論 問12は、石綿濃度(本/L)の計算に関する問題です。計数した石綿繊維数と、ろ紙の有効ろ過面の面積・顕微鏡の視野面積・計数した視野数・採気量から、空気中の石綿濃度を求めます。
この計算の考え方は二段構えです。まず、限られた視野で数えた繊維数からろ紙全体に捕集された総繊維数を推定します(観察できたのは「視野面積×視野数」というごく一部なので、有効ろ過面の面積で割り戻して全体へ拡大する)。次に、その総繊維数を採気量で割って、空気1リットルあたりの本数に直します。引っかけの核心は、視野の合計面積で割り戻してろ紙全体に拡大する一段を飛ばさないことです。数えた53本をそのまま採気量で割ると、ろ紙全体への拡大を忘れて桁を外します。式の組み立てを順序立てて押さえることが得点につながります。
※ 問題文そのものは、産業環境管理協会が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢(4)
| 手順 | 使う値 | 意味 |
|---|---|---|
| 手順1:観察した面積 | 視野面積×視野数 | 実際に繊維を数えた範囲の合計面積です。これに対して繊維数を数えています。 |
| 手順2:ろ紙全体へ拡大 | 有効ろ過面の面積 | 数えた繊維数を観察面積で割り、有効ろ過面の面積を掛けて、ろ紙全体の総繊維数に直します。 |
| 手順3:濃度へ換算 | 採気量 | ろ紙全体の総繊維数を採気量で割って、空気1リットルあたりの本数(本/L)にします。 |
この手順どおりに数値を当てはめると、石綿濃度=53÷(0.07065×100)×962÷2400=およそ 3.0 本/L となり、選択肢(4)が正解です。観察面積(視野面積0.07065mm²×100視野=7.065mm²)で面密度に直し、有効ろ過面962mm²でろ紙全体に拡大し、採気量2400Lで割る流れです。
つまずきやすいのは、観察した視野はろ紙のごく一部にすぎないという点です。数えた繊維数をそのまま採気量で割ってしまうと、ろ紙全体への拡大という一段が抜け落ちて値が大きく狂います。逆に、有効ろ過面の面積で拡大したあと採気量で割り戻すのを忘れても桁を外します。「観察面積でいったん面密度に直す → 有効ろ過面の面積でろ紙全体に拡大 → 採気量で1リットルあたりに換算」という三段の順序を崩さないことが、正しい桁にたどり着く鍵です。
数えた繊維数を、いきなり採気量で割って濃度を求めてよい?
いけません。数えたのはごく一部の視野だけなので、観察面積で面密度に直し、有効ろ過面の面積でろ紙全体に拡大してから採気量で割ります。この拡大を省くと桁を外します。
最後に採気量で割るのは何のため?
ろ紙全体の総繊維数を、空気1リットルあたりの本数(本/L)という濃度に換算するためです。採気量がそのまま分母になります。
この問題に関連する用語解説
出典
※ この記事の確認日:2026年6月