ふっ素はカルシウムで沈めればいい、と覚えたのに、なぜ1段だけでは足りないの?と思いませんか。ふっ化カルシウム法は低濃度まで下げにくい、というところから整理します。
この記事の要点
ふっ素排水の基本はふっ化カルシウム法です。ただし、これだけでは低濃度まで下げにくいため、2段で処理します。
ふっ素は、排水処理のなかでも低濃度まで下げにくい、やっかいな相手です。基本のふっ化カルシウム法から見ていきます。
ふっ化カルシウム法とは、ふっ素を含む排水に消石灰や塩化カルシウムなどのカルシウム化合物を加え、ふっ素を難溶性のふっ化カルシウム(CaF₂)として沈殿させて除く方法です。
処理は中性付近で行います。酸性が強すぎると、ふっ素がふっ化水素(HF)の形になってしまい、ふっ化カルシウムとして沈みにくくなるためです。
なお、沈殿汚泥の一部を反応槽に返送すると、凝集汚泥の沈降性をよくすることができます。
ふっ化カルシウム法の弱点は、これだけではふっ素濃度を10mg/L以下にするのが難しいことです。
そこで、より低い濃度まで下げたいときは、2段目の処理を組み合わせます。
ふっ化カルシウム法で大まかに除去し、アルミニウム塩の凝集沈殿や吸着樹脂で低濃度まで仕上げる。
ふっ素処理は、水質有害物質特論で、ふっ化カルシウム法の条件や限界として問われます。
令和7年度の水質有害物質特論(問5)では、「ふっ化カルシウム法ではふっ素濃度10mg/L以下にすることは困難」「アルミニウム塩による凝集沈殿で10mg/L未満にできる」「ふっ素吸着樹脂は水酸化ナトリウムで再生できる」が正しい記述として並ぶなかで、「ふっ化カルシウム法の最適な反応pHはpH4〜5程度である」とするのが誤りでした。酸性が強すぎるとふっ素がHFになって沈みにくく、最適は中性付近です。
混同しやすい用語
ふっ化カルシウム法(1段目) と アルミニウム塩・吸着樹脂(2段目)
どちらもふっ素を除きますが、役割が違います。
ふっ化カルシウム法は大まかな除去(10mg/L以下は困難)、アルミニウム塩の凝集沈殿や吸着樹脂は、より低濃度まで下げる仕上げです。
「カルシウムで大まかに→アルミ塩や吸着樹脂で仕上げ」と2段で押さえます。
ふっ化カルシウム法だけでは、ふっ素濃度をどのくらいまで下げるのが難しいか。どう仕上げるか。
答え:10mg/L以下にするのは困難。アルミニウム塩による凝集沈殿や、ふっ素吸着樹脂で仕上げる
吸着樹脂は水酸化ナトリウムで再生できます。
ふっ化カルシウム法の処理は、酸性が強い条件が最適か。
答え:いいえ。中性付近が適切(酸性が強いとふっ素がHFになり沈みにくい)
「pH4〜5程度が最適」とするのは誤りです。
ふっ素は低濃度まで下げにくいため、2段で処理します。
ふっ化カルシウム法でふっ素をふっ化カルシウムとして大まかに沈め、これだけでは10mg/L以下が難しいので、アルミニウム塩の凝集沈殿や吸着樹脂で仕上げます。処理は中性付近で行います。
「酸性が強すぎるとHFになり沈みにくい(最適は中性付近)」という点を取り違えないようにします。
参考
※ この記事の確認日:2026年6月
まちがえやすいポイント
ふっ化カルシウム法の最適pHが狙われます。
ふっ化カルシウム法を「pH4〜5(酸性)が最適」とするのは誤りです。酸性が強いとふっ素がHFになって沈みにくく、処理は中性付近で行います。1段だけでは10mg/L以下が難しく、アルミニウム塩や吸着樹脂で仕上げる、という点もセットで押さえます。