公害防止管理者 独学ノート

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集じん装置の種類と違い(原理・得意な粒径・圧力損失で比べる)

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重力・サイクロン・スクラバー・バグフィルター・電気集じん装置、似た名前が多くてどれがどんな仕組みでどの粒子が得意なのかが混ざりませんか。5種類の原理と違いをまとめて整理します。

この記事の要点

集じん装置は、排ガスに混じった粒子(ダスト)を取り除く装置で、何の力で粒子を分離するかで大きく5種類に分かれます。

  • 重力集じん(重力沈降室)…重力で落とす。粗い粒子向き。
  • 遠心力集じん(サイクロン)…旋回流の遠心力で壁へ寄せる。
  • 洗浄集じん(スクラバー)…水(液)に粒子を捕まえさせる。
  • ろ過集じん(バグフィルター)…ろ布でこし取る。細かい粒子に強い。
  • 電気集じん装置…粒子を帯電させ電極へ集める。細かい粒子に強い。

ざっくり、粗い粒子は重力やサイクロン、細かい粒子はバグフィルターや電気集じん装置が得意です。

工場の煙突から出る煙には、すすや粉じんといった細かい粒子(ダスト)が含まれます。

これを大気へ放つ前に取り除くのが集じん装置で、原理ごとにいくつもの種類があります。

名前が似ていて混ざりやすいので、まず「何の力で粒子をつかまえるか」で5つに分けて、それぞれの得意・不得意を見ていきます。

集じん装置とは(粒子を排ガスから取り除く装置)

集じん装置とは、排ガスの中に浮いている粒子(ダスト)を、何らかの力で気流から分離して取り除く装置です。

分離に使う力(原理)が装置の種類を決めます。重力なのか、遠心力なのか、水なのか、ろ布なのか、電気の力なのか、という違いです。

同じ排ガスでも、含まれる粒子が粗い(大きい)か、細かい(小さい)かで、向いている装置が変わります。

大きい粒子は重さや勢いで簡単に振り落とせますが、小さい粒子は気流に乗って漂い続けるため、より強い仕掛けが要ります。

5種類の原理と特徴

代表的な5種類を、原理の順に見ていきます。

① 重力集じん装置(重力沈降室)

排ガスを大きな箱(沈降室)に通して流速を落とし、粒子を重力で下に沈ませてとらえる、もっとも単純な装置です。

構造が簡単で圧力損失(ガスを通すときの抵抗・送風機の負担)が小さい反面、軽い細かい粒子は沈み切らないため、粗い粒子の前処理(一次集じん)に使われます。

② 遠心力集じん装置(サイクロン)

排ガスを円筒の中で旋回させ、遠心力で重い粒子を外側の壁へ押しやって落とす装置です。代表がサイクロンです。

可動部がなく扱いやすいのが利点で、重力集じんより細かい粒子までとらえられますが、ごく微細な粒子は捕集しきれません。

③ 洗浄集じん装置(スクラバー)

排ガスに水(液)を接触させ、粒子を水滴や液膜に捕まえさせて取り除く装置で、まとめてスクラバーと呼ばれます。

スプレー塔やベンチュリスクラバーなどがあり、ガス状成分の同時除去や、高温・湿ったガスにも対応できます。

水としっかり接触させて細かい粒子までとらえる方式(ベンチュリスクラバーなど)は集じん性能が高い一方、ガスを強く絞るため圧力損失が大きくなります。

④ ろ過集じん装置(バグフィルター)

布の袋(ろ布)に排ガスを通し、ろ布の表面で粒子をこし取る装置で、袋状のろ布を使うものをバグフィルターといいます。

細かい粒子まで高い効率でとらえられるのが強みで、広く使われます。

ただしろ布が目詰まりするため圧力損失は大きめで、結露(露点を下回って水滴ができる)や高温に弱く、温度・湿りの管理が要ります。

⑤ 電気集じん装置(EP)

高電圧の放電(コロナ放電)で粒子を帯電させ、反対の電極へ電気の力で引き寄せて集める装置です。

細かい粒子まで高い効率でとらえられ、しかもガスの抵抗(圧力損失)が小さいのが特徴で、大量の排ガスを処理する大型設備に向きます。

一方、粒子の電気抵抗率が高すぎると逆電離などが起きて集じんしにくくなるなど、対象ダストの電気的な性質に左右されます。

違いを表で比べる

原理・得意な粒径・圧力損失のおおまかな傾向を表にまとめます。細かな性能は条件で変わるため、傾向としてつかんでください。

種類 分離の原理 得意な粒子 圧力損失
重力集じん(重力沈降室) 重力で沈める 粗い粒子 小さい
遠心力集じん(サイクロン) 旋回流の遠心力 やや粗い〜中くらい 中くらい
洗浄集じん(スクラバー) 水(液)に捕集 中くらい〜細かい 方式により大きい
ろ過集じん(バグフィルター) ろ布でこし取る 細かい粒子 大きい
電気集じん装置 帯電させ電極へ 細かい粒子 小さい

「得意な粒径」を一本の軸で並べると、つかみやすくなります。

粗い粒子(大きい) 細かい粒子(小さい) 重力 サイクロン スクラバー バグフィルター 電気集じん 右へ行くほど細かい粒子をとらえられる(おおよその傾向)

左ほど粗い粒子向き、右ほど細かい粒子向き。重力・サイクロンで大きい粒子を落とし、細かい粒子をバグフィルターや電気集じん装置で仕上げる、という前処理→本処理の組み合わせもよく使われる。

覚えるときの軸は「原理」「粒径」「圧力損失」

種類が多く見えても、見るポイントは3つに絞れます。

1つ目は原理です。重力・遠心力・水・ろ布・電気のどれで粒子を分離するか、が装置名と直結します。

2つ目は得意な粒径です。粗い粒子は重力やサイクロン、細かい粒子はバグフィルターや電気集じん装置、という対応で押さえます。

3つ目は圧力損失(ガスを通す抵抗=送風機の負担)です。重力やサイクロン、電気集じんは比較的小さく、バグフィルターやベンチュリスクラバーは大きい傾向です。

この3つの軸で並べておくと、装置どうしを取り違えにくくなります。

過去問での問われ方

集じん装置は、公害防止管理者(大気関係)のばいじん・粉じん特論で、まさに中心テーマとして問われます。

たとえば令和7年度のばいじん・粉じん特論では、各種集じん装置を並べて圧力損失が最も大きいものを選ばせたり(重力沈降室・サイクロン・ベンチュリスクラバー・バグフィルターなどの比較)、充塡層式の洗浄集じん装置(スクラバー)はどれかを選ばせる問題が出ています。

また、遠心力集じん装置の遠心効果を計算させる問題や、電気集じん装置の放電・荷電や一段式/二段式の違いを問う問題、バグフィルターで湿ったガス・ダストを扱うときの注意(結露によるろ布の目詰まりなど)を問う問題も出題されています。

つまりこの科目では、「どの装置がどの原理か」「どれが圧力損失が大きい/小さいか」「各装置の弱点(電気抵抗率・結露など)」が繰り返し問われます。原理と特徴をセットで押さえておくのが近道です。

まちがえやすいポイント

各装置を「原理・得意な粒径・圧力損失」の3軸で並べ、取り違えないようにします。

圧力損失は、重力沈降室・サイクロン・電気集じん装置は比較的小さく、バグフィルターやベンチュリスクラバーは大きい傾向です。細かい粒子はバグフィルターや電気集じん装置が得意、と原理・特徴をセットで押さえます。

理解度チェック

Q.

旋回流の遠心力で粒子を壁へ押しやって分離する集じん装置を何というか。

答え:サイクロン(遠心力集じん装置)

排ガスを円筒内で旋回させ、重い粒子を外側へ寄せて落とします。重力集じんより細かい粒子までとらえられますが、ごく微細な粒子は苦手です。

Q.

細かい粒子を高い効率でとらえられ、しかも圧力損失が小さいため大型設備に向く装置はどれか。

答え:電気集じん装置

粒子を帯電させて電極へ集める方式で、ガスの抵抗(圧力損失)が小さいのが特徴です。ただし粒子の電気抵抗率が高すぎると集じんしにくくなります。

Q.

バグフィルターは粗い粒子専用で、細かい粒子はとらえられない。〇か×か。

答え:×

バグフィルター(ろ過集じん)は細かい粒子まで高い効率でとらえられるのが強みです。逆に粗い粒子の前処理向きなのは重力集じんやサイクロンです。

まとめ

集じん装置は、何の力で粒子を分離するかで重力・遠心力(サイクロン)・洗浄(スクラバー)・ろ過(バグフィルター)・電気集じんの5種類に分かれます。

粗い粒子は重力やサイクロン、細かい粒子はバグフィルターや電気集じん装置が得意で、圧力損失は重力・サイクロン・電気集じんが小さめ、バグフィルターやベンチュリスクラバーが大きめです。

原理・得意な粒径・圧力損失の3つの軸で並べておくと、ばいじん・粉じん特論の比較問題に強くなります。

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参考

  • 一般社団法人 産業環境管理協会 公害防止管理者等国家試験 ばいじん・粉じん特論(公式PDF)
  • 大気汚染防止法(e-Gov。ばい煙・粉じんに係る規制)
  • JIS Z 8901 試験用粉体/集じん装置の性能(集じん率・圧力損失などの用語)
公害防止管理者 独学ノート 編集部

この記事を書いた人

公害防止管理者 独学ノート 編集部

公害防止管理者試験の用語・法令・計算を、環境省の告示や過去問に照らして、独学者の目線で整理しています。

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