スプレー塔、充塡塔、ベンチュリ……スクラバーの名前が多すぎて覚えられないと感じませんか。どれも「ガスと液をどう接触させるか」の工夫違いです。そこを軸に整理します。
この記事の要点
ガス吸収装置(湿式スクラバー)は、排ガス中の有害なガスを液に溶かして(吸収して)取り除く装置です。粒子をこし取る集じん装置とは目的が違います。
排ガスには、粒子(ばいじん)だけでなく、二酸化硫黄や塩化水素などの有害なガスも含まれます。これらを液に溶かして除くのがガス吸収装置です。
液(水や薬液)にガスを接触させると、溶けやすいガスは液に移ります。装置の工夫は、この気体と液体の接触面積をいかに大きくするかに集約されます。
スプレー塔とは、塔の上部から液を霧状に噴霧し、下から上ってくるガスと接触させる方式です。
液を細かい霧にすることで表面積を稼ぎ、ガスを吸収します。構造が単純で、目づまりしにくいのが利点です。
スプレー塔は、上から液を霧にして降らせ、下から上るガスと向かい合って接触させる(向流)。ガスを液中に吹き込むのではない。
接触のさせ方を変えると、いろいろな方式になります。
| 方式 | 接触のさせ方 |
|---|---|
| 充塡塔 | 充塡物(リングなど)を詰め、表面に液を流してガスと接触させる |
| 段塔(棚段塔) | 塔内に多数の棚段を設け、その段上でガスと液を接触させる |
| ぬれ壁塔 | 垂直管の内壁に液を膜状に流し、中心を上るガスと接触させる |
| ベンチュリスクラバー | 細くなったスロート部で高速のガス中に液を噴霧して接触させる |
| サイクロンスクラバー | 旋回しながら上るガスに、中心から噴霧した液滴を接触させる |
いずれも「気体と液体の接触面積を大きくして、ガスを液へよく移す」ための工夫だと捉えると、覚えやすくなります。
混同しやすい用語
ガス吸収 と 集じん(粒子の捕集)
どちらも排ガスをきれいにしますが、対象が違います。
ガス吸収は、溶けやすいガス成分を液に溶かして除くこと。集じんは、粒子(ばいじん・ダスト)をこし取ることです。
「吸収=ガスを液に溶かす」「集じん=粒子を捕まえる」と分けて押さえます(なお、ベンチュリスクラバーは粒子の洗浄除去にも使われます)。
ガス吸収装置は、大気有害物質特論で、各方式の接触のさせ方の組合せとして問われます。
令和7年度の大気有害物質特論(問3)では、各装置と方式の組合せが問われ、スプレー塔を「ガスを塔内の液中に連続的に吹き込んで接触させる方式」とするのは誤りでした。それは液中にガスを吹き込む別方式(気泡塔型)の説明で、スプレー塔は液を霧状に噴霧する方式です。
ガス吸収装置(スクラバー)は、排ガス中の何を、どうやって除去するか。
答え:溶けやすい有害ガス(SO₂・HCl・HFなど)を、液に溶かして(吸収して)除去する
気体と液体の接触面積を大きくするほど、よく吸収できます。粒子をこし取る集じんとは目的が違います。
スプレー塔は、ガスと液をどのように接触させる方式か。
答え:塔の上部から液を霧状に噴霧し、下から上るガスと接触させる
「ガスを液中に吹き込む」のは別方式(気泡塔型)で、スプレー塔の説明としては誤りです。
ガス吸収装置は、溶けやすい有害ガスを液に溶かして除く湿式の装置です。
スプレー塔・充塡塔・段塔・ぬれ壁塔・ベンチュリスクラバーなどがあり、違いは「ガスと液をどう接触させ、接触面積を増やすか」の工夫です。
スプレー塔は液を噴霧する方式、という基本を押さえ、粒子を捕る集じん装置とは目的が違うことも区別しておきます。
参考
※ この記事の確認日:2026年6月
まちがえやすいポイント
各吸収装置の接触のさせ方を入れ替えた組合せが狙われます。
スプレー塔を「ガスを塔内の液中に連続的に吹き込んで接触させる方式」とするのは誤りで、それは気泡塔型の説明。スプレー塔は液を霧状に噴霧する方式です。