大気汚染防止法の「特定物質」って、ばい煙や有害大気汚染物質と何が違うの?で混乱しませんか。キーワードは「事故のとき」です。整理します。
この記事の要点
特定物質とは、大気汚染防止法で定められた、事故で大気中に多量に排出されると人の健康・生活環境に被害を生じるおそれのある物質です。
大気汚染防止法には、ばい煙や粉じんなど、ふだんの操業で出る汚染物質の規制があります。これとは別に、事故のときに問題になる物質を定めているのが特定物質です。
特定物質とは、物の合成・分解などの化学的処理にともなって発生する物質のうち、事故(設備の故障や破損など)で大気中に多量に排出されると、人の健康や生活環境に被害を生じるおそれがあるとして、政令で定められたものです。
具体的には、アンモニア、塩化水素、二酸化硫黄、塩素、硫化水素、ふっ化水素、ホルムアルデヒドなどが定められています。多くは常温で気体で、刺激臭をもつのが特徴です。
特定物質を扱う施設で事故が起き、特定物質が大気中に多量に排出された(またはそのおそれがある)ときは、法律で次の義務が定められています。
まず、ただちに応急の措置を講じて、排出の防止に努めます。そのうえで、すみやかに事故の状況を都道府県知事に通報します。
特定物質が事故で漏洩したら、ただちに応急の措置を講じ、すみやかに都道府県知事へ通報する。
応急措置として、漏れた特定物質を中和することがあります。塩化水素・硫酸などの酸性の物質は、炭酸ナトリウムなどのアルカリで中和できます。
ただし、フェノールのような弱い酸は、炭酸ナトリウムでは中和できません(炭酸より弱い酸のため)。物質によって中和できるかどうかが違う点に注意します。
特定物質は、大気有害物質特論で、該当する物質や事故時の措置として問われます。
令和7年度の大気有害物質特論(問6)では、常温で気体・刺激臭をもつ特定物質を選ぶ問題で、一酸化炭素を特定物質(刺激臭の気体)に含めるのは誤りでした。一酸化炭素は無臭で、特定物質には含まれません。問7では、炭酸ナトリウムで中和できない物質としてフェノールが問われました。
混同しやすい用語
特定物質 と 一酸化炭素
「有害な気体だから特定物質だろう」と思い込みやすいところです。
特定物質は刺激臭の気体(アンモニア・塩素など)が多いですが、一酸化炭素は無臭で、特定物質には含まれません。
「刺激臭の気体=特定物質に多い/一酸化炭素は無臭で対象外」と区別します。
大気汚染防止法の特定物質とは、どのような物質か。事故時に何が必要か。
答え:事故で大気中に多量に排出されると健康・生活環境に被害を生じるおそれのある、政令で定める物質。事故時はただちに応急措置を講じ、都道府県知事へ通報する
アンモニア・塩素・塩化水素など、刺激臭の気体が多く定められています。
一酸化炭素は、刺激臭をもつ特定物質といえるか。
答え:いえない(一酸化炭素は無臭で、特定物質には含まれない)
有害な気体ではありますが、特定物質の刺激臭の気体には当たりません。
特定物質は、事故のときに問題になる物質を定めたものです。
事故で多量に排出されると被害のおそれがある物質で、漏洩時はただちに応急措置を講じ、都道府県知事へ通報します。アンモニア・塩素など刺激臭の気体が多いですが、一酸化炭素は無臭で含まれません。
該当物質(とくに一酸化炭素が対象外)と、事故時の措置をセットで押さえておきます。
参考
※ この記事の確認日:2026年6月
まちがえやすいポイント
どの物質が特定物質に該当するか、特に一酸化炭素の扱いが狙われます。
一酸化炭素は無臭で、特定物質には含まれません。特定物質は事故時に応急措置+知事への通報が必要な物質で、アンモニア・塩素・塩化水素など刺激臭の気体が多い、と押さえます。中和できない例(フェノール)も要注意です。